映画館に於けるスピーカの配置。(フロント編)2010年02月16日

テレビの場合、ハイビジョンでお馴染みの16:9や、少し前までの4:3
と言われる縦:横比の画面だが、映画の場合はどうだろう?!
DVDで観る時に上下に黒いマスクのような物が入る作品が多いので、
少なくとも16:9より横長だと思うのだが・・・。

映画にも2種類の画面比率がある事を知っている人は少ないかも知れ
ない。(予告編から本編に入る時に暗幕が横に広がったりって経験無い
ですか?)
実は、1:2.39になるシネマスコープという比率と、1:1.85になるビ
スタビジョンという比率があります。
フィルムに記録されている写真の縦横比は変わらないので、実はシネ
マスコープで上映する作品のフィルムには、縦長の映像が入っていて、
特殊なレンズで横に伸ばして正常な画面になる様に写しているのです。
(フィルムを見ると縦長の顔が写っています)

少し脱線しましたが、ホームシアターの場合は視聴位置をハッキリさせ
る事が出来ますが、映画館の場合は客席全てが視聴位置なので、適正
な位置というのがありません。
すなわちLRの開き角度が45度だの60度だのと決められない訳です。

だいたいスクリーンの横幅一杯々の所にLRのスピーカが設置される事
が多いのですが、シネマスコープを上映する際、縦横の比率を変える
のに、横に伸ばす方法と、上下(もしくは上か下一方)を切る方法がある
のです。(分かりますよネ?!)
上下を切る場合は普通にスクリーンの横一杯にLとRのスピーカを設置
出来ますが、横に伸びる場合はシネマスコープ側の横一杯だと、ビスタ
ビジョンの作品を上映する際には暗幕が出て来てしまうので、そう簡単
にはいかないんです。
その場合、ビスタビジョンの横一杯か?!暗幕に掛かっても音が通る
ように、それ相当の工夫をしてシネマスコープ画面の横一杯の位置に
設置されたりします。(この場合ビスタビジョンの作品の場合、LとRは
画面の外から音が出ている事になります)

センタースピーカはスクリーンに対して平行に出来るだけ近くで設置さ
れますが、LとRは少し内振りにして設置されます。(この加減はコンピ
ューターによるシミュレーションを実施して、近い方の壁の影響を考えて
対角線上のエリアにも、ある程度フォロー出来る振り角度を計算して、
設置されています)
高さについてはスクリーンの縦方向中央より、やや上(2/3~5/8)
に音軸の中心が来る様に設置されています。
下振り角度についても、前出のシミュレーションで後方壁の影響が少な
い事と出来るだけ客席前方にも音が届く具合を確認して決められます。

当たり前だと思われるかも知れませんが、結構計算されて作られてい
ます。(昔は、もっと適当だったと思います)